花をいけてみたら変わること

「華道」とかしこまらずに、ただ花をいける楽しさを皆さんと共有できれば嬉しいです

今日のお稽古:28 Dec 2023

2023年のお稽古納めは予告通りお正月花で、T.Y.さんとS.I.さんがお見えになりました。普段、顔を合わせる機会のないお二人ですが、今回は同じ花材をセレクトされたこと、また私のデモンストレーションをお見せしたかったこともあって、お時間を合わせていらして頂きました。

 

まず、T.Y.さんの作品からご紹介します。
木瓜を主役に水盤でおいけになりました。立派な枝振りを上手に活かしていらっしゃいます。水面もたっぷり見せて清々しく美しいですね。お正月を迎える頃には木瓜と百合が華やかな紅白になることでしょう。とても素敵です。

T.Y.さん:木瓜、黒松、鉄砲百合、金塗り柳

 

続いてS.I.さんの作品です。こちらは同じ花材ですが、松を背高く配して投入でおいけになりました。今回の松は若松に比べて余り長さがなかったので、接木をして高さを出しました。また、頭が重い素材なので、横一文字とワイヤーを使ってしっかりと固定しています。お正月早々に松が傾いて作品が崩壊してしまうような不吉なハプニングは断固阻止したいですからね、笑。こちらも百合が咲き始めるとグッとゴージャスな印象になるでしょう。お正月花定番の千両や南天などの赤を入れていませんが、かえって品良くスタイリッシュに仕上がっています。

S.I.さん:黒松、鉄砲百合、木瓜、金塗り柳

 

百合は開花した時の様子を想像しながら構成しなくてはいけない点が難しいところです。今日の段階では少し地味かな?と感じるかも知れませんが、年始には見頃になるのではないでしょうか。もし花が開いた時にイメージと違った場合(多すぎる、花の向きが違うなど)は、億劫がらずに手直しをしましょう。

 

いかがでしょう? 二作ともどこに出しても恥ずかしくない立派なお正月花になりましたね。今年も一年、本当にお疲れさまでした。来年も引き続き楽しく、共に精進して参りましょう!

 

 

 

 

昨日のお稽古:24 Dec 2023

Merry Christmas!!

 

イブの昨日、S.I.さんがお稽古にいらっしゃいました。花材はクリスマスを意識したグリーン(ユーカリ)・赤(ガーベラ)・白(霞草)の取り合わせということで、今回は「場面を想定して」をテーマにお稽古して頂きました。

 

S.I.さん:ユーカリ、ガーベラ、霞草

今回の花材のように、無造作に一まとめにしただけでもなんとなく格好のついてしまうような組み合わせの場合、オリジナリティーのある作品に仕上げることは意外に難しかったりします。では、ありきたりの"花束風"から魅力的な"いけばな"に進化させるにはどうすれば良いのでしょうか?

手っ取り早い方法は、1.シンメトリーを避け、アシンメトリーに構成すること、2.疎密をつけること、3.空間(間合い)を大事にすること、でしょう。

S.I.さんの手直し前の作品はバランス良く、文句なく綺麗な作品でした。が、いけばなとしては少々綺麗に整い過ぎていて、"あそび"の要素がもう一つ欲しいな・・・という印象でした。

そこで、作品の中で最も気に入っている売りポイントを引き立てるよう、あえて調和を崩してみました。左に伸びるガーベラの表情がとても素敵でしたので、その部分がより映えるように背後のユーカリを剪定。次にインパクトのある赤の配置を工夫しました(3点に分散していたものを、1輪と2輪の2点に変更)。

 

いかがですか?こんな素敵な花のある空間ならば、クリスマス気分もますます盛り上がる!というものです。

 

sosyu.hatenablog.com

 

 

次回は今年のお稽古納めで、正月花のお稽古です。乞うご期待!

 

今年のクリスマスは・・・

 

今年のクリスマスはリースではなく、ガーランド風の飾りつけにしてみました。

ガーランドとは、紐状の飾りをいうようなので、今回のこれは厳密にいうと少し違うかもしれません。サンゴミズキ、赤目柳、イブキ、メラレウカ、カンガルーポーはお稽古で使用した花材を再利用です。

一回り小ぶりの飾りは友人に、最後に残った材料をひとまとめにしてスワッグも・・・。

Sosyu:サンゴミズキ、赤目柳、ヒムロスギ、カヤ、カンガルーポー、イブキ、サンキライ、メラレウカ、晒しヤマシダ、コットンフラワー

 

こちらは生徒さんの作品です。お稽古の後にSさんはスワッグを、S.I.さんはガーランドを作ってお帰りになりました。

Sさん:サンゴミズキ、赤目柳、ヒムロスギ、カヤ、ユーカリヒペリカム、サンキライ

 

S.I. さん:ヒムロスギ、カヤ、イブキ、ユーカリ、メラレウカ、パンパスグラス、コットンフラワー、サンキライ、ドライヒペリカム、サンゴミズキ



先週のお稽古: 2、3 Dec 2023

気がつけばカレンダーはとうとう最後の1ページになってしまいました。11月に入っても暖かい日があったりで、師走の実感がまるで湧きません。例年であれば12月を待たずにクリスマスリースを飾るのですが、今年は遅まきながら昨日やっと仕上げて玄関に取り付けたところです(今年はガーランドにしました!)。

 

さて、この週末にはSさんと S.I.さんがお稽古にいらっしゃいましたので、お二人の作品をご紹介します。まずはSさんの自由花から。

Sさん:赤目柳、金魚草、ヒペリカム、アレカヤシ

挿し口が2つある花器ですが、それがちょうど縦に重なるアングルを正面にすることで口元が引き締まって見えます。赤目柳を左手に、アレカヤシを右手に展開して互いに引き合わせ、その中心をヒペリカムの赤でまとめているのも上手いですね。また、柳の先端を上向きにカーブさせたことで、これだけの長さがありながらも緊張感を保てています。いつもながら、品の良い作品です。

 

続いてはS.I.さんの作品ですが、こちらはあらゆる角度からの視線を踏まえていけて頂きました。

S.I.さん:南天、アイリス、小菊

今回は花材が少々難しかったですね。矯めのきかない南天に、固い蕾のアイリス、ぎゅっと花の密集した小菊ですから・・・。

四方正面であっても、フラワーアレンジメントのようなシンメトリーではなく、アシンメトリーに構成することで ”いけばな” ならではの魅力を表現しましょう。つまり、あらゆる角度から見てそれぞれに破綻がなく、尚且つ多彩な表情を見せてくれる作品を目指します。

・・・と講釈するのは簡単ですが、実際にはなかなか難しい課題です。S.I.さんには焦ることなく、失敗も含めてとにかく数をこなし、その中でさまざまな発見や技術の習得を積み重ねて頂ければ嬉しいです。

よく頑張りました!お疲れ様です。

 

 

先週のお稽古: 24、26 Nov 2023

11月を締めくくる、お二人のお稽古の様子をご紹介します。

 

まず、S.I.さんの自由花から。今回は足元を見せる構成というテーマでいけて頂きました。

ユニークな石化柳の曲線を上手く使っていますね。ドラセナも柳の個性を活かすように剪定を施し、また葉の脇からチラリと見せた百合の蕾もちょうど良い加減です。

初めは花器から立ち上がる2本の間隔が少し広く、やや緊張感に欠ける足元だったのですが、その間をつめたことで引き締まったカッコいい作品になりました。

S.I.さん:石化柳、ドラセナ、百合

 

続いては久しぶりにいらした Iさんです。こちらは第二応用傾真型の盛花です。

傾真型の盛花では剣山の位置が水盤の奥になりますので、剣山が隠れるようにいける工夫が必要です。とはいえ、挿す本数を増やして隠すのではなく、作品を見た時に視覚的に剣山が隠れるように挿すことがポイントです。つまり、たった1本の花や葉でも、視線に合わせて角度をつけていけることで十分に剣山を隠すことが可能です。今回はその点を今一度確認して頂きました。

Iさん:コオリヤナギ、金魚草

 

 

昨日のお稽古:22 Nov 2023

昨日の自宅教室の様子です。

S.E.さん、U.N.さん、T.M.さんのお三方がいらっしゃいました。今回も基本型・投入の練習です。

 

まずはS.E.さんの作品から。とても綺麗に入りました、お見事!  途中、金魚草の先が下向きに入っていましたが、垂れ下がらない向きに差し替えたことでイキイキとした表情に変わりましたね。素敵です。

S.E.さん:フウセントウワタキンギョソウ、ドラセナ

 

続いてU.N.さんです。白い花器ということもあり、レモンイエローの花にドラセナの赤が良いアクセントになっています。金魚草の向きも素敵ですね。花の先端は緩やかなカーブを描いていますが、そのニュアンスを上手く活かしていらっしゃいます。大人の花・・・という感じでしょうか、笑。

U.N.さん

 

最後にT.M.さん。投入のお稽古2回目で、十文字留めは初挑戦なのですが、きちんと入りました、素晴らしい! 十文字の細工も難なくクリアして、バランスの良い作品に仕上がりました。

実は講評の際に少し気になった"控"の角度を手直ししたところ、せっかく整っていた作品を私が崩してしまいまして・・・。なので、T.M.さんが初めにおいけになった作品とは幾分違ってしまったかもしれません(ごめんなさい)。 初心者の方が投入の練習をするには余りふさわしくない花材かと思いましたが、杞憂でしたね。

T.M.さん

 

皆さま、お疲れ様でした。

 

 

 

草月いけばな展 2023

先月、日本橋高島屋を会場に草月いけばな展が開催され、前・後期に分けた会期の前期(10月25〜27日)に出品しました。

今さら感が否めませんが、備忘録的な意味で書き残しておきたいと思います。

 

Sosyu:イブキ、サンゴミズキカーネーションヒペリカム

 

今回は受付から入って直ぐの角席というとても恵まれた花席を担当させて頂きましたが、実は思いの外、難儀しまして・・・。

というのは、正面(席札を置いた側)からだけでなく、斜めから、真横から、場合によっては裏からと、あらゆる角度からの視線に晒されることになりますので、それを考慮しつついけなくてはならない訳です。サンゴミズキの赤い曲線を奔放に散らして、踊るような軽快さを演出したい!と考えたのですが、角度によってはただの野暮ったい線にしか見えなかったり、全体のバランスを台無しにしてしまう線に反転したりで、集中力がプチッと切れる寸前(いや、切れてたな・・・)でした。

それでも、塚本先生や諸先輩方がご自身も制作中にも関わらず陣中見舞いに立ち寄って下さり、かけて頂いた激励に勇気づけられて、なんとかギリギリ滑り込みで仕上げることができました。本当に感謝しかありません。

 

第104回草月いけばな展が開催されます | いけばな草月流

 

お陰様で評判はまずまず、特に緑のグラデーションと赤の色合わせにはたくさんのお褒めの言葉を頂きました。また花器へのコメントも多く、その魅力には随分と助けられました。実際、今回はこの花器を作品の発想の元としましたので、ある意味狙い通りと言えるかもしれません。

この花器はお世話になった先輩から譲り受けたもので、コロンとした丸いフォルムも、メレンゲでコーティングしたような艶やかな白色も、球体部分を支える控えめな脚も、とても気に入っています。これからも長く大事にしたいと思います。

 

改めまして、ご来場くださいました皆さまには心よりお礼申し上げます。