花をいけてみたら変わること

「華道」とかしこまらずに、ただ花をいける楽しさを皆さんと共有できれば嬉しいです

今週のお稽古:6 Jul 2026

7月最初のお稽古はS.E.さんとT.M.さんのお二人です。今回は共に「同じ形を繰り返す」というテーマに挑戦していただきました。折ったり、丸めたり、割いたり・・・と細工を施して、植物の様々な表情と可能性を楽しんでいただきます。

 

まずはS.E.さんの作品です。こちらは「丸める」を繰り返し、大小とりどりの渦巻きで構成しています。球体の花器との関連性もバッチリですね。

丸め方を均一にするのではなく、バリエーションをもたせることでメリハリが生まれました。リズミカルで楽しい作品ですね。大いに遊んでいただけたのではないでしょうか。

S.E.さん:赤ニューサイラン、クルクマ

 

T.M.さんは葉を鋭角に折って作った「三角形」を組み重ねた構成です。こちらも花器の形状と上手くシンクロさせています。

同じ要領で作ったパーツでも向きによって見え方は変化しますから、その点も踏まえてどう配置するかがポイントです。形を繰り返しているからこそ、一歩間違えると単調になってしまいますので、粗密にもしっかりと気を配って構成したいものです。

三角形が持つシャープさが光る作品に仕上がりました。

T.M.さん:赤ニューサイラン、クルクマ

 

 

植物にこれだけ手を加えるということは、他流では余りないように思います。実際のところ花材の日持はどうしても悪くなりますし、工作が過ぎれば幼稚で陳腐な作品になってしまうリスクもあります。ですから好き嫌い、得意不得意は分かれるところかもしれませんね。

それでも植物の特性を知るのに有効な練習方法であることに間違いはありません。難しく考えず、気楽に手を動かしあれこれと試して、楽しんでいただきたいと思います。

 

 

 

 

先週のお稽古:27 Jun 2026

6月最後のお稽古にはS.I.さんとT.Y.さんのお二人がいらっしゃいました。台風到来を考慮し、中止にするべきかギリギリまで悩みましたが、幸い東京では予報に反して拍子抜けする程度の雨量でしたので、予定通りお稽古を決行することとなりました。

 

が、そんな台風の影響もあってか花材の選択肢は限られ、南天とトルコキキョウというシンプルな組み合わせになりました。

まずはS.I.さんの作品から。

南天の"く"の字に曲がった枝振りにポイントをおき、昇り龍よろしく、トルコキキョウの花も下から上へとクネクネと線を描くように配置しています。艶消しの灰色の花器の雰囲気にも上手くマッチしていますね。素敵に仕上がりました。

S.I. さん:南天、トルコキキョウ

 

 

続いてT.Y.さんには三方正面の花型を投入、添え木留めでいけていただきました。

添え木留めの場合、枝に割り込みを入れるだけの太さ(強度)が必要です。そのため条件が整わず、十文字留めに比べると練習する頻度が少い傾向がありますから、この際しっかりと復習をしていただこうという狙いです。

・・・なのですが、今回の南天は流石に立派過ぎました。「過ぎたるは及ばざるがごとし」とは正にこのことでしょうか、苦笑。まず、枝をそれぞれの寸法で切り出すところから苦戦することに。無理をして鋏を悪くしてもつまりませんから、ノコギリを使って作業をしていただきましたが、DIYが趣味という方でもなければ、ノコギリを握る機会もそうそうないでしょう。これも一つの経験と思っていただければ何よりです。

そんな訳で、少々脇道にそれたレッスンにはなりましたが、スッキリとした作品が完成しました。

T.Y. さん:南天、トルコキキョウ



 

 

今週のお稽古:24、26 Jun 2026

今週はT教室と、自宅教室がありました。

 

まずはT教室のTさんの作品からご紹介しましょう。

今回は「動きを表現する」というテーマで取り組んでいただきました。自分で一つ動詞を思い浮かべて、そのイメージを作品に落とし込んでいく・・・というもので、なかなか面白い練習方法です。

Tさん:ツルソケイ、ヒマワリ

さて、皆さんはこの作品からどんな動詞を連想しますか?

Tさんによりますと、「倒れる」を表現したとのこと。ヒマワリと床面との間合いから、「倒れちゃった・・・」という完了形(停止)ではなく、「きゃー、倒れるぅ・・・」という、今まさに倒れる動きのさ中にあって、寸でのところで踏み止まっているような緊張感が伝わってきます。ヒマワリの曲線を上手く使いましいたね。

 

 

もうお一方、Yさんには株分けの花型を練習していただきました。記録によると今回のお稽古でちょうど丸2年になったようです。月に一回のレッスンなので、カリキュラムの進みはのんびりペースですが、それでも着実に上達されていて優秀な生徒さんです。

作品ですが、こちらは真・副・控の全てにソケイを使い、ヒマワリは従枝として構成しています。青々としたソケイとヒマワリの相性も良いですし、株と株の間にたゆたう水をしっかりと見せていて、夏らしい作品になりました。これからも頑張ってください。

Yさん:ツルソケイ、ヒマワリ

 

 

日が変わり、自宅教室にはSさんがお見えになりました。

こちらのヒマワリに合わせる花材は雪柳とアリウム、アップルグリーンのカーネーションです。

選ばれた花器が横長で比較的大ぶりですから、作品の方も丈を長く使い、大らかに仕上げています。アリウムとヒマワリの線の関係性に試行錯誤の跡が見られ、しっかりと考えながらいけていらっしゃるのがわかります。色の配分も良いですし、間の取り方も上手くいきましたね。

Sさん:雪柳、アリウム、ヒマワリ、スプレーカーネーション

 

 

 

支部講習会:片山 健先生を講師にお迎えして

先月、2026年5月17日、本部講師 片山健先生による東京北支部支部講習会「歴代家元でたどる草月の歴史・これから」が草月会館にて開催されました。

勅使河原蒼風先生、霞先生、宏先生、そして現・茜家元にまつわる興味深いエピソードなどを交えながら、12作ものデモンストレーションをご披露くださり、とても贅沢な時間を堪能させていただきました。

 

季節柄、花菖蒲・杜若に紅葉を合わせた盛花に始まり、輪島塗の「蒼風好 五重筒」から三つを使って効果的なデモの見せ方などを伝授いただきました。

 

 

カラフルなガラス花器を用いた華やかな作品に続けて、着色ヤマシダに「蝶」をあしらった一作、霞先生デザインの竹籠に芍薬を咲かせた作品で霞先生へのオマージュとされました。

 

 

今なお草月ショップで人気花器として販売されている宏先生創案の「コの字」には、ピンク系の花もので軽やに混ぜざしで仕上げられました。

 

 

ステンレスならではの質感が特徴のこれら個性的な花器は茜家元デザインとのこと、今回初めて知りました。これまで一度も手にしたことのない花器でしたが、いつか私も挑戦してみたいと思います。

 

 

 

最後を締めくくるのは、宏先生デザインの花器に煙の木、雪柳、ハンギングヘリコニア、アレカヤシ、割竹を使ったダイナミックな作品です。

 

 

立て続けに12作もいけられたというのに、一切の澱みもなく流れるよなパフォーマンスで、講習会という勉強の場であることを忘れて、ただただ見入ってしまいました。

片山先生、北支部の新運営委員の皆さま、素晴らしい講習会をありがとうございました。

 

 

 

 

先週のお稽古: 6、8 Jun 2026

6月に入りました。

梅雨入りした東京はジメジメと蒸し暑い日が増え、外出するのが億劫になるところ、 トップバッターでS.I.さんがお稽古にいらっしゃいました。

ソケイとヒマワリに合わせて、トルコブルーの花器を選択、色の対比が印象的ですね。ヒマワリは"sunflower"という名の通り、太陽のような丸みが特徴ですから、半球状の花器との相性も良いと思います。素直に入った一作で好感が持てます。

S.I.さん:ツルソケイ、ヒマワリ、アルケミラ

 

続いてT.M.さんとS.E.さんのお二人がお見えになりました。こちらはフサスグリとアリウムをヒマワリに合わせる組み合わせです。

 

まずはT.M.さんの作品ですが、今回は花型のお稽古はお休みをして、花器の色をテーマに自由花でいけていただきました。ドロップ形の花器の端からキャンディーのようスグリの実が顔をのぞかせて、甘い香りが漂ってきそうです。

赤と緑という補色の要素を含んだスグリを真っ赤な花器に合わせ、さらに鮮やか黄色で口元を締める構成です。存在感のある円形の花器を起点に、大きく渦を巻くようダイナミックに仕上げています。頑張りましたね。

T.M.さん:フサスグリ、ヒマワリ、丹頂アリウム

 

 

最後にS.E.さんの作品ですが、こちらは下から見上げる位置に花器を置いていける練習です。写真では分かりにくいですが、かなり高い位置での作業ですから、普段のお稽古とは大分勝手が違ったかと思います。

フサスグリとアリウムの曲線を上手く利用していますね。ヒマワリの見せ方も工夫があり、とても良いと思います。黄色の花器にヒマワリの黄色が同化してしまいそうなところ、脇にスグリの葉の緑を置いて花の輪郭を際立たせている点もニクいですね。良作です。

S.E.さん:フサスグリ、ヒマワリ、丹頂アリウム

 

 

何をするにも空模様と相談しながら・・・というのが梅雨明けまで続くと思うと気が滅入りますが、植物にとっては恵みの雨。大自然への感謝と敬意を忘れずに過ごしたいと思います。

 

 

今週のお稽古:31 May 2026

5月を締めくくるお稽古は、T.Y.さんとS.I.さんのお二人です。

 

花材はトサミズキと深紅の芍薬の二種で、T.Y.さんにはこれを"剣山なし"でいけていただきました。

矯めのきくトサミズキを長めに流したことで、作品がダイナミックになりました。水際近くには芍薬の青々とした葉を集中させ、変化をつけている点も良いですね。

"剣山なし"でいけるには(物理的な)バランスが重要になりますが、作品としては"安定"が過ぎると面白みに欠けるものになってしまいます。少しスリリングな要素があった方が、ドラマチックで魅力的です。素敵に仕上がりましたね。

T.Y.さん:トサミズキ、芍薬

 

S.I.さんの方はいけているうちに芍薬の花が開いてしまう事態に・・・。蕾と咲いた花の状態とでは大分ギャップがありますから、大変だったと思います。あっという間にいけ初めの様子とは別ものになってしまいましたから、戸惑われたことでしょう。こうなっては臨機応変に構成を再考しながらいけるしかありません。難易度の高い作業ですが、花展やデモンストレーションといった本番ではアクシデントは付きものですから、むしろ良い勉強だったかもしれません。最後まで頑張りましたね。

S.I.さん:トサミズキ、芍薬

 

 

今週のお稽古:19、22 May 2026

今週は花材に恵まれた1週間でした。

初めにIさんです。研究会で使用した花材のお下がりを色々と貰い受けたので、その中から自由に選んでお稽古をしていただきました。普段は超のつくコンサバ志向(笑)ですが、流石に豊富に並ぶ花材を前に、やる気スイッチが入ったようで、あっという間に3作が仕上がりました。

まず、バショウの葉を二つに畳んで面の構成とした一作です。花器の形にも連動していて、モダンで良いですね。Iさんの新たな一面を見た気がします。

Iさん:バショウの葉、ニューサイラン、デルフィニウム、ブルースター

次に姫リョウブをメインにした作品です。水辺の風景を思い描いていけたとのこと。初め"株"が一つだったのですが、それだけでは少々弱かったので、手前にもう一株を追加しました。株分けにしたことで、株と株の間にたゆたう水の存在がより印象的になりました。

Iさん:姫リョウブ(コバノズイナ)、デルフィニウム、ニューサイラン

最後にピンクのガーベラに赤いドラセナの葉を添わせた作品です。シンプルですが、紺の花器との相性も良いですし、色の組み合わせが成功した一作と言えるでしょう。

Iさん:ニューサイラン、ガーベラ、ドラセナ

 

 

続いてはT教室のYさんです。

こちらは種類こそレンギョウと芍薬の2種ですが、キャンセルが出て思いがけず2杯分の花材を使えることになったため、量に余裕ができました。ということで、少し欲張った内容でお稽古していただきました。

まず、2本の主枝で構成する第四応用の投入です。芍薬は頭が重いので、決して易しい花材ではありませんが、スムーズに入りましたね、素晴らしい!

加えて、基本傾真型を逆勝手でいけていただきました。投入の後なので、盛花は楽勝だったのではないでしょうか?

Yさん:レンギョウ、芍薬

仕上げに、2作を並べて構成する、併合花型です。なかなかにゴージャスですね。

 

 

あらかじめ花材の種類や量が決められている中、想像力をフル稼働して如何に思いを形にするか・・・、それも作品作りの面白いところですが、花材の組み合わせの段階から自分で考え、選び、デザインするというのも魅力的な作業です。

Iさん、Yさんには普段よりも心にゆとりを持って制作に臨んでいただけたのではないでしょうか。お疲れさまでした。