「秋」はいけばなの幅が一段と広がる季節ではないでしょうか。
七草ばかりではありません。色づいた葉の風情が何とも言えない紅葉の枝や、実をつけ重そうにたわむ枝、コスモス(秋桜)やケイトウの花など、秋らしい花材が豊富です。
中でも「実もの」には秋を象徴するような魅力があり、独特の面白さと、同時に難しさがあります。
一口に実ものと言っても、イイギリやツルウメモドキ、鈴バラのように小さな実が集まったものもあれば、カリンやザクロのように一つの実が大きく存在感のあるものもあります。いずれの場合も、実や葉のつき具合を良く観察して、時に効果的な剪定が必要でしょう。
いける際の注意点は、実付きの枝は案外に重量があるということです。重さに負けて花器が倒れてしまうことのないようバランスを考えながらいけましょう。また、赤や紫など色素の強い実が多く、熟して脆い場合もありますから、落ちた実を潰してクロスや床を汚すことのないように気をつけてください。
実ものならではの趣を存分に生かし、季節感を出して仕上げてみてはいかがですか?