花をいけてみたら変わること

「華道」とかしこまらずに、ただ花をいける楽しさを皆さんと共有できれば嬉しいです

SYC東京1 企画展 「点々」

2月を締めくくるイベントとして、SYC(Sogetsu Young Challengers)東京1の企画展「点々」にお邪魔してきました。

今回はタイトル「点々」の通り、知る人ぞ知る「谷根千」にテンテンと存在する3会場をスタンプラリーで巡ろう!という企画です。

SYC東京1が開催されます | いけばな草月流

 

まずはツツジで有名な根津神社にほど近い「ギャラリー・マルヒ」から。元は質屋さんだったとかで、蔵のある古民家です。レトロな空間に若いメンバーの作品という、とんでもないジェネレーションギャップが、不思議な化学反応を起こしています。カッコいい!

 

続いて千駄木方向に進み、「Gallery KINGYO」へ。ポップな釣り作品と、両脇に置かれた黒いオブジェが目に飛び込んできます。このオブジェは金属素材の持つクールな質感を感じさせますが、実はその正体はストローなんだとか! 種明かしを聞いて脳内の重力センサーが大混乱、笑。えっ?重いの?軽いの??重くないの???

釣り作品で視線を上に誘導しつつ、足元には一見重量感のあるオブジェを置くという演出で、箱型のギャラリーが一層魅力的になりました。お見事です。

 

さらに「へび道」を千駄木まで進むと「White Gallery」です。3会場の中では一番"ギャラリーらしい"箱でしょうか。明るい室内に色鮮やかな作品が並び、とても好感が持てます。どれも個性溢れる素敵な作品で、私もパワー充電させていただきました。




お邪魔した日は生憎の小雨でしたが、傘をさしながらクネクネと曲がった細い路地を歩くのは、むしろ正しい「谷根千」の味わい方だったかも知れません。

素晴らしい企画、本当にお疲れ様でした。

(写真に収められなかった素敵な作品もたくさんあるのですが、今回はごめんなさい・・・!)

 

先週のお稽古:23、24 Feb 2024

2年がかりで準備した支部展が終わり、心身ともに張り詰めていたものが一気に解き放たれ、充電が完全にゼロに。持ち帰った花材やら工具やらで、家中が足の踏み場のない有様でも片付ける元気はもはやなく、「見なかったことに・・・」という自己暗示が解けるまでに10日かかりました。本当は1ヶ月でも2ヶ月でも、そんなゴミ屋敷でやり過ごす自信があったのですが(苦笑)、生徒さんがお稽古にいらっしゃる!ということで、否応なく現実世界に引き戻された次第です。

 

・・・と長い前置き(グチ?)です、失礼。

さて、いらして下さった救世主のS.I.さんですが、今回は1日2レッスンの欲張りコースです。

支部展で使用した雑木の類が色々と揃っていたので、これを利用して木の構成をお稽古して頂きました。なかなか面白い造形作品になりましたよ。

S.I.さん:イブキ、コデマリ、菜の花

もう一作は剣山なしです。2作品とも剣山という道具を使わずに作品を立ち上げ、自立させるテクニックが求められる訳ですが、重心を感知するセンスや要所を固定する技術の向上が期待できます。

桃、菜の花、コデマリ

良い機会なので"木"を素材として作品を制作する際に必要となる様々な工具の扱い方についても学んで頂きました。インパクトドリルのパワーには少々面食らわれたようですが、ワイヤー留めは随分と上達されたと思います。何事も経験!これからも頑張ってくださいね。

 

 

続いてはS.A.さんです。花材は満開のミモザと紫のストック、8分咲きの桜です。特にテーマは設けていませんが、この組み合わせならば "色" を無視しては作品が成り立ちませんね。

紫を作品中央に置き、黄色を左右に、ピンクを上に展開しています。紫と黄色の補色の対比と、紫から淡いピンクへのグラデーションという絶妙な色合わせで、とても素敵です。

S.A.さん:啓翁桜、ミモザアカシア、ストック

 

来月も花展やイベントが盛り沢山です。ゾンビと人間との間を行ったり来たりしながら、なんとか乗り切りたいと思います!

 

 

先週のお稽古:15 Feb 2024

T.Y.さんのお稽古の様子をご紹介します。

今回は枝もの2種を使って、"剣山なし"に初挑戦して頂きました。矯めのきくマンサクと、きかないコデマリの組み合わせですが、まずは幹のしっかりとしたマンサクで骨格を作り、後からコデマリを加えて肉付けをしていきます。

上手くまとまりましたね、上出来です!

T.Y.さん:マンサク、コデマリ

"剣山なし”のコツは、手を離した時にどちらの方向に傾くかを見極めながら作業を進めることです。重心がどこにあるのかを常に意識しながら、枝と枝の接点の位置を調整したり、重過ぎるところは余分を剪定して軽くする、矯めて力を分散させるなどしてバランスを取ります。花器の壁面の角を利用すると安定感が増してスッキリとした足元になります。

但し、バランスを重視する余り、均等に整い過ぎないように気をつけましょう。少しばかりスリリングな要素があった方が魅力的な作品になりますよ。

初めのうちは花材がしっかりと立ち上がれば合格です。慣れてきたら疎密をつけて表情豊かな作品を目指しましょう。一枝一枝組み上げる時の緊張感を楽しんでください。

 

 

連花と連歌 時空を超えて part 2

2024年の草月会東京北支部いけばな展は「連花」と「連歌」の二つの花席で構成しました。

連花席では勅使河原宏家元と茜家元の時空を超えた親子共演を起点に、合作、そして個人作へと展開しました。

花器を全て黒の鉄花器で統一したことで、47名の個性がぶつかり合いながらも、全く破綻がありません。むしろ、一連の調和を感じます。それにしても、草月アトリエは色々な形、サイズの鉄花器を制作しているのだなと改めて驚かされます。

草月流 第三代 勅使河原 宏家元(写真)、第四代 勅使河原 茜家元

 

 

 

変わって連歌席の方は、動的空間である連花席に対して、整然と整った静的空間を演出しました。百人一首から選んだ三遍を題材に、各々の想いを作品にしていただきました。

会場中央には竹のオブジェを設置。割竹を天井から吊るし、大きく弧を描かせたシンプルなデザインですが、作品を引き立てつつ邪魔にならない塩梅を考慮して、敢えて控えめに仕上げています。

 

 

今回は会期を2日に絞っての開催となりましたが、大勢の方々にお運びいただき、運営委員一同感激しております。特に「連花をやって楽しかった、またやりたい!」というリアクションに触れると2年間の苦労も報われる思いです。(でも、裏方としては連花はもうお腹一杯です、苦笑)

ご協力いただいた方々には、今一度心よりお礼申し上げます。

 

 

 

sosyu.hatenablog.com

 

 

連花と連歌 時空を超えて

2024年2月11〜12日の2日間にわたり実施された「第13回草月会東京北支部 草月いけばな展(北千住)」はお陰様で盛況のうちに無事終了しました。出品者の皆さま、ご来場くださった皆さま、開催にあたりご尽力いただいた皆さまには心よりお礼申し上げます。

 

今回、私が参加したのは広々としたスペースを贅沢に使っての「連花*」です。タイトルに「時空を超えて」と謳った通り、草月流第三代 勅使河原宏家元の作品(写真)をトップバッターに掲げて、それを受けて茜家元に二番手の大作を制作いただきました。

三番手以降は会場を3つのエリアに分け、合作、個人作・・・とバトンをつないでいく趣向です。連花はあくまでも前のいけ手の作品からインスパイアされて作品を生み出す即興性にその本質がありますから、花器・花材は私たち運営サイドが会場内に用意をし、出品者はその中から自分のイメージに合ったものを選んで、15〜20分を目安に制作するというスタイルで進めました。

私の出番はAグループの2作目で、花材などは選び放題という特典がつきましたが、同時に私の作品が後に続く方々の方向性を左右しかねないというプレッシャーも課せられ、会期前から胃がシクシクと・・・。とにかく考え過ぎても良いことはないぞ!と開き直り、無心でいけました。助手をしてくださった岡戸陽苑先生には本当に感謝です。

 

Sosyu:カイヅカイブキ、着色花材、コデマリ、キウイのつる

 

*連花(れんか)

 

このブログも随分長い間放置してしまいましたが、支部展が終わりやっと余裕がでてきましたので、続けて支部展の様子をご紹介していきたいと思います。乞うご期待!

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日のお稽古:21 Jan 2024

この週末、東京では雪の予報が出ていたので、お稽古もどうなるやら・・・と思っていましたが、結局(少なくとも我が家の付近では)雨が雪に変わることはなく、ホッとしました。僅かでも積もったりすると通勤・通学にも支障が出ますし、やはり東京で雪は歓迎されませんね。

 

そんな冷たい雨の中、S.I.さんがめげずにいらしてくれました。今回は枝ものだけを使っていける練習です。

S.I.さん:レンギョウコデマリミモザアカシア

 

レンギョウコデマリミモザの3種を大きく大胆に踊らせて、とても良いですね。レンギョウコデマリは矯めがきかないので、素材が持つ曲線を生かして使う必要がありますが、その点をきちんと踏まえて、前後左右にリズミカルに枝を遊ばせています。

作品正面の写真(上)では前後に伸びる枝が重なり合って写り、完全に消えてしまいましたが、横から撮影した写真(下)では作品の広がりが良くわかると思います。

背景のスクリーンからもはみ出るような勢いのある作品、これからもどんどん見せて下さい!

 

 

一昨日のお稽古:17 Jan 2024

一昨日はS.E.さんとT.M.さんのお二人が初稽古にいらっしゃいました。花材は女子力がアップしそうなピンクのチューリップです。

 

まずはS.E.さんの作品ですが、横長の構成をテーマにいけて頂きました。両手を広げたようなユキヤナギが大らかで良いですね。この場合、左右の対比に気を配り、単調にならないようメリハリを効かせることが大切です。大胆さと愛らしさの両方を備えた作品になりました。

S.E.さん:ユキヤナギ、チューリップ、スターチス

 

続いてT.M.さん、こちらは応用花型に初挑戦です。今回もまた主枝の真・副・控がしっかりと入りましたね。"主枝は花型法で角度も挿す方向も決まっているのだから、再現するのは簡単"と思われがちですが、実際にはそう定規で測ったようにはいきません。ひと枝ひと枝に特徴と個性のある有機物が相手である上に、残念ながら人間の目測というのは想像以上に当てにならないものですから…。なので、花型図の通りに挿せたならばそれは"ブラボー!"に値する訳です。今後の成長が楽しみです。

T.M.さん:ユキヤナギ、チューリップ、スターチス

 

ところで枝もののユキヤナギですが、咲いている花がちらほらの状態では枝の正面(日表)を見分けるのが少し難しかったかも知れません。そんな時はむしろ日裏の方が見つけやすいものです。今回の場合、無愛想に茶色い木肌が目立つところが裏になります。そして裏(人で言うところの後ろ姿)が作品の正面になることを回避すれば、ひとまず問題ありません。植物をしっかりと観察し、表情豊かなアングルを探し出して作品に活かしましょう。