Hさんのお稽古に用意された花材は木瓜、紅葉ヒペリカムにまだ蕾の固い百合でした。
真っ赤に紅葉したヒペリカムを中央にアクセントとして上手く使っていらっしゃいますね。
当然のことながら切花と言えども植物は日々成長していますので、時間の経過とともにそのコンディションは変化していきます。蕾だった花が開き、さらに萎れて散ってゆく。柳から新芽が出てきたり、チューリップの茎が長く伸びたり。日の当たる方に花の向きを変えるものもあります。
特に花は咲いているか否かで色調が劇的に違ってきますので、その都度作品全体のバランスを見て適切にメンテナンスをするというのは大切な作業と言えます。
稽古場ではこうした花材の変化に応じて手直しをする練習はできませんが、実はとても重要なテクニックだと思っています。
今回も百合が咲いたならば随分と作品の印象が変わるはずです。木瓜も然りで、次第に蕾は赤みが強くなり、満開だった花びらは順に散っていくでしょう。メンテナンスも練習のうちと思って花の変化を見守り、作品が常に最良な状態であるよう心がけて頂きたいと思います。