花をいけてみたら変わること

「華道」とかしこまらずに、ただ花をいける楽しさを皆さんと共有できれば嬉しいです

巨大オブジェ

草月東京西支部が10月中旬から11月中旬にかけて立川の昭和記念公園を舞台に実施する野外展「よみがえる樹々のいのち」では、広々と雄大な敷地に雑木や竹の巨大オブジェを配して来場者の目を楽しませます。

国営昭和記念公園公式ホームページ | 日本を代表する国営公園 「花」「緑」イベント満載の都会のオアシス

例年14〜16グループが参加し、趣向を凝らしたユニークな作品を展示します。各グループはその年のテーマに沿って作品の構想を練り、作品タイトル・デザイン・制作方法を決めて、メンバー自ら電動ドライバーやノコギリを手に巨大なオブジェを作り上げていきます。華道のイメージにはおよそ似つかわしくない力仕事も多いですし、雨の中での作業で泥だらけになることもありますが、それも屋外インスタレーションならではです。

 

作品は時に幅10メートル、高さ6メートル近くになることもあります。これだけの構造物となると、一番気を使うところは何と言っても安全面です。ひと月も野ざらしで設置する訳ですから、途中で作品が壊れる、倒れるといった事故が間違っても起きないように、設計の時点から専門的知識を持つ先生方に念入りなチェックとアドバイスを頂き、慎重に進めていきます。

というのも、作品は柵などで囲まれることなく展示されるため、公園来場者は直に触れることが出来るんです。それがこの野外展の魅力でもありますし、作品に手を添えた写真をインスタにアップしてもらえれば制作者冥利に尽きる!というもので、大いに歓迎するところです。

しかし実際にはそんな控えめな来場者さんばかりではありません、苦笑。お子さんも大勢やって来る公園のことですから、よじ登ったり、跨ったり、木と木の隙間をくぐり抜けたり・・・と。ある程度の事態は織り込み済みで、作品が元で怪我をするようなことのないよう対策も講じてはいるのですが、時に想定をはるかに超える事態もまま起こるのでした・・・。

トラブルが生じるのはそんな人災(?)によるものだけではありません。10月という時節柄「台風」という強敵にも備えなくてはいけません。

 

作品の見た目、出来栄えは当然ながら何よりも大切ですが、安全性を確保する為に妥協を余儀なくされる場合もあります。屋内の会場で2-3日、長くても1週間程度の会期で「お手を触れないで下さい」の立札に守られた花展とは全く別の発想が必要だと感じることもしばしばです。そのせめぎ合いが野外展の醍醐味なのかも知れません。