花をいけてみたら変わること

「華道」とかしこまらずに、ただ花をいける楽しさを皆さんと共有できれば嬉しいです

先週のお稽古:12、14 Apr 2024

先週のお稽古をご紹介します。

 

S.A.さんの自由花は投入で・・・。オクラレルカとカラーのすっきりとしたラインが印象的な作品に仕上がりました。今回の花器にツツジは共に和テイストで相性抜群ですが、意表を突いてモダンな構成にしたのが面白いところです。まだ蕾だったツツジは、今頃は満開で色鮮やかなことでしょうね。

S.A.さん:ツツジ、カラー、オクラレルカ

 

続いてS.I.さんは上からの目線を意識して仕上げた作品です。普段より1段低いローテーブルで制作して頂きましたが、さらに床に置くとまた見え方が違ってきます。花展などでは「床上がり」花席となることもしばしばですし、時々はこうしてあらゆる角度から作品を見つめることも大事ですね。(足腰が丈夫なうちに!笑)
アリストロメリアのピンクの塊を高低2段に配して、足元を引き締める工夫は良く考えています。初めての床上がりですが、上手くまとめました。頑張りましたね!

S.I.さん:木苺、アリストロメリア、オクラレルカ

 

 

 

昨日のお稽古:9 Apr 2024

やっと咲いた桜の花を残らず吹き飛ばさんばかりの強風の中、お三方がお稽古にいらっしゃいました。皆さん、電車に小一時間揺られて通ってくださるので、本当に有難いなと思っています。

 

ではまず、U.N.さんの作品からご紹介します。

コロナ騒動明けにお稽古を再開され、しばらくはリハビリがてら花型の復習をなさいましたが、今日は水盤に応用編の自由花です。復習の効果はテキメンのようで、特に意識せずとも絶妙のバランスで入りましたね、素晴らしい!

U.N.さん:木苺、ピンポン菊、ナデシコ

 

S.E.さんも今回は自由花で、私のお気に入りの花器を使って投入です。

これは何年か前に、四谷のうめの花器店さんで一目惚れをして衝動買いをしたものなのですが、実のところ、花をいけるとなると思いのほか難しい花器なのです。ですから、これを選んで仕上げたというだけで、私は拍手を送りたい、笑! 良くまとめましたね、頑張りました。

うめの花器店ホームページ(新宿・四ッ谷ー花器・ガラス花器・華道具・Flower Vase Shop)

S.E.さん

 

最後に、初めて体験レッスンにいらしてからちょうど一年になるT.M.さんの作品です。

今回は第一応用傾真型ですが、しっかりと入りました。「今日の花材の取り合わせは好き」と仰るだけあって、一枝一枝がとても良い表情をしています。これから益々いけばなの楽しさにハマって頂けると信じています。

T.M.さん

 

 

 

第70回小金井桜まつり「いけ花と茶席のつどい」

今年は近年では珍しく、3月が終わろうというのにまだ桜の蕾が硬いようです。

先週末、小金井公園にて桜まつりが実施され、それに合わせて江戸東京たてもの園内で「いけ花と茶席のつどい」が催されました。桜の全くない「桜まつり」は流石に残念ではありましたが、たくさんの出店が並び、園内にはイベントに盛り上がる声や賑やかな音楽が明るく響き、公園に足を運ばれた方々は花はなくともお祭り気分はしっかりと堪能されたようです。

第70回小金井桜まつり | 小金井市観光まちおこし協会

 

昨年は常盤台写真場を会場に塚本草昌先生以下、門下8名で花をいけましたが、今年は場所を天明家(母家)に移し、また違った雰囲気の中で作品を制作させていただきました。

中村草朱:苔木、グロリオーサ、雪柳、フリージア、桔梗蘭

 

入口を入って直ぐの花席なので、明るい色の花器と花材を選びました。フリージアは香りも楽しめる花ですから、ご来場の方々に春を感じていただけたなら何よりです。

実際、受付当番の際、建物に入られた方から「わぁ、きれい!」の声が聞こえると、思わず「"イイね" いただきました!」とガッツポーズをしてはしゃいでおりました、笑。



 

天明家の居間、建物のメインとなる花席には塚本先生が大作をおいけになりました。囲炉裏で漆黒に燻された引戸をバックにレンギョウとグロリオーサの黄色が鮮やかに映えて、これぞ正真正銘のお迎え花ですね。

本草昌:レンギョウコデマリ、グロリオーサ、霞草、ミカン(枝)

 

 

土間に据えられた釜戸の脇には姉妹弟子の五本木昌広さんの作品です。土の質感が何とも味わいのある壺に、花木を大らかにおいけになりました。右手から差し込む自然光に椿の葉が艶やかで、とても素敵です。

五本木昌広:木瓜、椿、サンシュユ



所変わって、小出邸に2作出品は、昭和記念公園野外展のチームメイト、北村嶺世さんです。
色味を抑えた清楚な作品(左)と、それとは対照的に赤い鉄水盤が印象的な作品(右)は大胆でポップです。両作とも実物は写真以上の大作・力作で、これらをお一人で仕上げたとは脱帽です!

北村嶺世:左) 桜、雪柳、割竹 右) 雲竜柳、アンスリウム、八手、ガーベラ、ノラニンジン


草月には「場にいける」というカリキュラムがあります。歴史的な建物に花をいけることが貴重な機会であるのは言うまでもありませんが、文化財を傷つけないよう細心の注意を払う様々な工夫など、日頃のお稽古ではなかなか習得できないことも体験しますから、とても勉強になります。
今回もお声がけ下さった塚本先生には心より感謝申し上げます。

 

 

sosyu.hatenablog.com

 

第11回 AT賞展 2024

先週、草月会館(青山)にてAT賞展が開催されました。

この家元のお名前を冠した"Akane Teshigahara = AT賞"とは、草月人にとっては特別なものです。年間を通して家元研究科で研鑽を積んだ者の中から、選考会を経て厳正に選出される賞であり、草月人が目標として目指すものの一つではないでしょうか。

その受賞者達による作品発表の場がこちらです。会期が2日間ではもったいないようなハイレベルの展示内容で、力作の数々に圧倒されます。

 

第11回 AT賞展が開催されます | いけばな草月流

 

第11回 AT賞展

会期:2024年3月15日・16日  10:00〜17:00

場所:草月会館1階 草月プラザ

 

A 覚知雅秀、B 東和霞
C 勅使河原明美、D 古川丹萠
E 吉澤星玲
F 渡辺祥夏、G 平塚恵春
H 田中秀萠、I 中村俊映
J 藤倉清佳、K 橋本佳蘭
L 平山菊洸、M 橋爪千峰
N 古家賀苑、O 森島志鳳

 



今回も E席の吉澤星玲先生の助手をさせて頂きました。制作にたっぷりと2日間がとられるほどの規模の企画ですから、とても良い経験になりました。貴重な機会を下さった吉澤先生には心から感謝です。出来上がった作品をただ拝見するのと、助手とは言え、制作に関わった上で拝見するのとでは、格段の違いがありますからね。

 

受賞者の皆様、本当にお疲れ様でした。そして、改めましてAT賞ご受賞おめでとうございます!

 

 

先週のお稽古: 10 Mar 2024

先週のS.I.さんのお稽古をご紹介します。

 

S.I.さん:桜、雪柳、金魚草

挿し口が2つ並んだ背の高い花器を使っての制作です。少しパールがかった光沢の褐色で、全体に横縞模様が刻まれています。

今回はそんな花器から発想を得て作品を構成するというのがお稽古のテーマでしたが、仕上がってみるとその考察は少し甘かったのかな?と感じます。

スリムな花器に対して桜を高く挿して、尚且つ横幅を抑えた構成はとても良かったと思います。また、アクセントとなるレモンイエローの金魚草の入れ方、雪柳の従枝としての使い方もバランス良く、上出来と言って良いでしょう。作品としては品の良い素敵な出来です。

ただ、「この花器の特徴はどのように作品に反映されているのかな?」というと、残念ながら伝わってくるものが弱いですね。

 

花器なり、花材なり、いける環境なり・・・、作品の核とすべき題材がある時は、制作に取りかかる前に、連想ゲームのように自分が直感的に感じた印象を書き出してみると良いでしょう。

例えば今回の花器ならば・・・、

・縦長の形

・褐色でザラザラとした土の質感

・派手さはないが、重量感あり

・拳で潰したような中央のくぼみが印象的

・横縞模様は波紋、地層、年輪を連想

質実剛健

・無骨だが温かみがある

と、思いつくことを並べてみます。次にこれらをヒントにして、作品の様子をイメージしていく訳です。

もちろん感覚は人それぞれですから、個人差があって構いません。自分の第一印象を信じて作品を組み立てましょう。

 

この手のお稽古は手だけでなく、頭もフル回転する作業になるので、スタミナが必要です、苦笑。

ともあれ、しっかりと入った良い作品ですよ。お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

先週のお稽古:3、7 Mar 2024

先週はお二方がお稽古にいらっしゃいました。

 

まずはS.I.さんですが、線を重ねて面を構成する課題に挑戦なさいました。

今回使用したフトイはこのテーマにはうってつけの素材ですが、油断はいけません。一見どれも同じく真っ直ぐなように見えますが、じっくりと観察すると一本一本にクセがあり、当然ながら長さや太さにも個体差があります。それを見誤ると作品の出来上がりに歪みが生じますから、素材と良く語らいながらいけることが大切です。

長く伸びるフトイを並べて面とし、扇子のように先を少し広げることで開放感のある作品にしています。

 

S.I.さん:フトイ、チューリップ、レースフラワー

 

S.A.さんはアリストロメリアを中心に使い、華やかな作品に仕上げました。

アリストロメリアは一本の茎からスプレー状に花が広がる形状で、ボリュームを出したい時にはとても重宝する素材です。ただ、スプレー系の特徴として中心からほぼ同じ高さで花が咲くので、先端がラッパ状に広がり、やや軽やかさと風情に欠けます。

S.A.さんのように何本か根元から間引いて、花の位置に凹凸がでるよう組み直した方がバランスの良いケースもあります。

S.A.さん:キバデマリ、アリストロメリア、ドラセナ

 

お二人共に「花材の特徴を見極めて、作品に反映させる」勉強となりました。

 

 

 

先週のお稽古: 28 Feb 2023

3月に入りました。花屋さんではもう桜が本番とばかりに出回っていますが、3月弥生はやはり「桃」でしょう。食紅で色付けたお菓子のような花と、コロンとした蕾がなんとも愛らしい花木です。ただ、その枝ぶりは無表情で、はっきり言って退屈にさえ感じます。

そんな桃ですが、菜の花と合わせてS.E.さんとT.M.さんが投入のお稽古をされました。

 

まずはS.E.さんの作品から。桃のはつらつとした姿が綺麗ですね。

今回の花材は桃こそ花つきが良く立派でしたが、菜の花の方はかなり細身で、葉っぱ一枚も無駄にできないボリュームでしたから、さぞいけ難かったろうと思います。

普段ならば真のわき枝をもう少し整理するところですが、節句を祝う花なので、華やかさと勢いを優先して手をつけませんでした。

S.E.さん:桃、菜の花

 

続いてT.M.さんですが、こちらもご同様で少ない花材でのやりくりが大変でしたね。真に比べると副が弱々しいのがやはり気になるところですが、花材に恵まれなかったのですから致し方ありません。(こんな時は"真"と"控"のみで構成する第四応用花型をお勉強していただけば良かったですね・・・。)

それでも添え木留めの復習はしていただけたので、今回はそれを収穫としましょう。

雛祭りに相応しく、桃のピンクと菜の花の若草色がとても春らしい作品です。

T.M.さん:桃、菜の花

お二人とも難しい花材で良く頑張りました!